「クラウド」サービスの変遷について考えてみた

「クラウド」といわれるAWSやGCP、Azureが今まで辿ってきた提供サービスの歴史について、少し考えてみました。

クラウド黎明期

「クラウド」という、もやっとした名称でサービス展開し始めましたが、当初のサービス段階では実際のところ、SalesForceの「SaaS」ぐらいしか展開、活用されていませんでした。

※SalesForceなどクラウド専用アプリケーション開発には開発方法が特殊だったため、ほぼ1から勉強して開発するしかなく、既存の開発者は置き去りでした。

クラウド確立期

その後、「PaaS」として仮想OSレベルでのサービスが提供されましたが、この場合でも従来のレンタルサーバーサービスと別段かわらない上に、定量課金で結局「何が違うの?」と首をひねる状態でした。

※定量課金だから、稼働中のスケールイン、スケールアウトがやりやすいといったメリットはもちろんありました。

クラウド発展期

そして「IaaS」が提供されてやっと特定サービスの制限やOS制限がなくなり、ある意味何でもできる状態にはなりましたが、コストが意外と高くなる傾向があり、ホスティングサービスの方が初期導入費はかかりますが、物理制約がなくて対応しやすい状況でした。
開発側からの視点だと、テストサーバーなどの開発サーバーが(長い稟議通さず)すぐ構築できるメリットがありました。

※運用中の場合には何十GBのデータコピーに数時間かかるなど、わざわざ移行するメリットはありませんでした。

クラウド成熟期

ですが、やっと最近「クラウド」サービスを利用する最適なサービスが展開されてきました。人工知能(AI)やビジネスインテリジェンス(BI)を用いるようなサービスです。

AIの分野では、深層学習(ディープラーニング)を活用できるようになりました。(翻訳や画像解析、ボットなど)
これを実行するためにはデータの蓄積とリアルタイム演算を用いるために特殊なサーバー構成が必要になります。(GPU演算の活用や複数台での同時演算など)一般にはなかなか構築が困難なため、「クラウド」での利用が最適です。
また、既存のソフトウェアとも連携可能なAPIでも提供されており、よりシームレスな連携が可能となっています。

BIの分野ではオープンデータ活用やIoTデバイスをばら撒いて、膨大なデータを「クラウド」に集約させるなどといったことがしやすく、従来なら時間のかかるデータ集計も「クラウド」側で実施して素早く演算して活用することが可能になってきました。

まとめ

最近まで活用に制限があった「クラウド」サービスでしたが、ほぼ制限がなくなり、とうとうAI機能の集約ともいえるパッケージングされた「認知サービス(コグニティブサービス)」を「クラウド」サービスによって手軽に扱えるようになりました。
逆に「クラウド」にしか提供できない(しにくい)サービスとなっています。

また、物理面でもネットワークの増強などに後押しされていますし、国内のクラウド拠点(リージョン)も増えています。
今後は社内サーバー(オンプレミスサーバー)とクラウドとの連携も暗号化通信(VPN通信)で安全に接続可能ですので、ハイブリッドクラウドの時代も到来すると考えています。

強いて欠点をいうなら、国内企業の「クラウド」サーバーがほとんどないのが懸念されます。(提供されていてもほぼ既存大手「クラウド」の乗り入れです。)急なアカウント停止もありえますので、クラウド戦争時代に日本は生き残れるのかが懸念されます。

今後さらに便利になった「クラウド」サーバーを活用したサービス利用が浸透していきますので、どんどん勉強や活用推進をしていかなければならないでしょう。

※Google AppsやOffice365は「クラウド」というよりもアプリなどの固有サービスとして一般的になってしまったため、あえて議題より外しています。

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