現状でGoogle Glass、Oculus Rift、Microsoft HoloLensなど、メガネのようにかけるウェラブルデバイス(スマートグラスとも呼ばれているようです。)が開発者向けに出ていますが、実際のところどのような使い方が望ましいのかを個人的に考察してみます。
※いつの間にかGoogle Glassは「Google Glass V3.0 XE-C」という3世代目となっていました。また、実際販売されているものとしては「MOVERIO BT-200AV」がありますのでこちらも一緒に比較してみます。
基本的に各デバイスのコンセプトも違いますので、個別に比較してみましょう。
Google Glass
単眼のみ、常に装着する。視界にモニターが半透明で表示されている。
専用のアプリが公開。操作はボイスコマンド。
現時点でGoogle Glassはスマートウォッチをメガネに搭載したようなイメージで、カメラはついていますが、ARはできなさそうです。録画した動画を視点共有して体感させるぐらいでしょうか。一日の長がありますが、あくまでミニモニター、動作するのもミニアプリまでです。
MOVERIO BT-200AV
両眼、半透明なので常時装着も可能だが、意外と大きいため現実的ではない。
視界内に大きなモニターが表示されている状態。用途としては個人シアター要素が強い。
操作は専用タッチパッド。
MOVERIO BT-200AVはそのままのAndroid端末ですね。遠くにある大型モニターを操作する形なので、装着したまま外に出ると歩きスマホ状態で危ないでしょう。
パーソナル空間で大画面スマホを楽しむイメージです。
Oculus Rift
両眼、必要な時に装着する。
CG空間による仮想的な空間をヘッドセットのモニターで表示して、360度仮想空間を見渡せる。
PCを接続して利用する。操作はコントローラー(Oculus Touch)など。
Oculus Riftは完全にゲーム用と考えてよさそうです。PCに接続しないと動きませんし。。。
完全に周りが見えないので、ゲームに熱中したりとかムフフなコンテンツを楽しむ場合は特に気を付ける必要があるでしょう。
先にPS4との組合せの「Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)」がメジャーになる気もします。
※2017年1月現在、「PlayStation®VR」という名称になって無事発売されました。
このコンセプト形態としては、どちらかというと簡易的な「スマホ+ハコスコ」を利用してもらうのがコンテンツを提供する側としては有利でしょう。
Microsoft HoloLens
両眼、AR重視、必要な時に装着する。
現実空間にCGの仮想物体が存在するように感じられる。
操作はジェスチャー。
Microsoft HoloLensはまだ実機をさわれる状態にないので、想像の部分が大きいのですが、デモを見る限りではAR専用機としても優秀ですし、モニターも仮想的に配置できますので、WEBブラウザや動画鑑賞にも耐えられると思います。
AR部分が他の人から見えないのでジェスチャーなどが残念な感じですが、ナビなど行うにはかなり便利だと思います。
※実機をさわれる機会があったので、試してみました。「Microsoft HoloLens(ホロレンズ)を体験してみた感想」
使われ方について考えてみた
ひととおり各機器のコンセプトがわかったところで、用途について考えてみます。
基本的に想定される使い方はこのような形でしょう。
・ARデバイス
・大画面モニター
・VR(バーチャルリアリティ)ゲーム
・リモート作業ツール
・監視、管理用途
また、既に問題点として提起されることもあります。
・視点でのカメラ録画によるプライバシー
・移動時での使用
・屋外での表示が苦手
・発熱や電池容量
・ファッション性
・操作性
・価格設定
・VR酔い
屋内での利用:
ゲームやシアター要素の強いデバイスは、屋内で利用する分には、ファッションや安全性など何ら問題ありませんし、値段とコンテンツ次第でいくらでも普及すると思います。
VR酔いは実際には歩いていないのに歩くVRとかは脳を誤認識させる技術になりますので、対策としてゆったり目な視点制御が重要になるようです。また、応答速度や解像度などが上がれば、ある程度は解消されるとの話もありますが、あまり激しいゲームなどはやはり難しいかもしれません。
また、高価な値段であってもアミューズメント施設やネットカフェなどうまくコンテンツ連携ができれば、意外と身近な存在にはなりそうです。
屋外での利用:
今のところ、完全にウェラブルデバイスとしての位置づけしか対応できない状態です。
Google Glassを付けるか、Apple Watchを付けるかの選択支だったら、メガネをかけている人はV3.0の形状であればファッション性もクリアできそうですし、Google Glassを選ぶというのはあるでしょう。バイクなどの操縦で両手がふさがった状態での使い方でも、さすがに時計型では見れませんのでこちらの用途でも必要となってきます。
監視業務やドローンなどのリモート作業ツールとしての利用であれば、これはリモートするデバイスの安全性や制御自体が問題となるだけで、導入先も企業でしょうし問題はなさそうです。(電源と稼働時間の問題は多少ありますが。。。)
まとめ
ウェラブルデバイスの使い方しか出来ていない現状では、グラスデバイスをわざわざ使うメリットとして少ない気がします。(やっぱり中身はサブモニター+Androidなのですから。)
やはり現存デバイスは、用途を絞った形でのケースバイケースで使うしかないのでしょう。
また、安全性もありますので、個人的、日常的に使うものというよりは、まずはアミューズメント系の3Dメガネに替わる形で採用されるのが主体となっていくと考えます。
本来、グラスデバイスはARの用途で必要性を求められていたものだと考えています。そのため、Google Glassの形では要求としては足りず、Oculus Riftでは用途としてまったく異なっています。
ですが、やっとMicrosoft HoloLensがその要求をかなえてくれそうです。
今のところデモではゲームや3Dデザインの表示になっていますが、実際には博物館でも、動物園でも至る所で利用の可能性はいくらでもあり得るでしょう。(デザイン面や実用性の評価はまだですが。)
2016年発売を予定しているとのことですので、更なる使い方を考えて期待して待ちましょう。
2016/11/1追記
※今までいろいろな問題(主に技適)で日本での発売は見送られてきていましたが、とうとう年内プレオーダー開始されるそうです!
Microsoft HoloLens の日本での提供について